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怪物のkikiのレビュー・感想・評価

怪物(2023年製作の映画)
4.6
物語は3部構成で、母親(安藤さくら)、教師(瑛太)、子供たちを同じ時間軸で順番に見せていく。
その構成が絶妙で、視聴者は安藤や瑛太と同じ目線で見ることになる。
その安藤や瑛太と同じ目線というのがこの物語の核だから、見終わった後にいろいろと考えさせられる。

安藤さくらは息子と友達のような良い関係だけど、息子の悩みの核心にまでは踏み込もうとはしないで、環境(学校)の方を変えようとする。
瑛太も良い教師でいようと振る舞っているけど、物事を見えてる範囲でしか判断しない。
だから事の本質が見えてなくて、事態がどんどん悪化していく。
みんなが「きちんと話を聞く」ことをしていれば…。

セリフも何気ない一言が重要だったりしていて、2回目に見ると気づかされることも多い。
「テレビで見てるからウソだって分かるんだよ」とか「普通に結婚して家族を持ってほしい」とかのセリフが、3章を見ると実はとても重い言葉になっていたと気付かされる。
他にも何気ないセリフや行動が伏線になってる部分が多くて、緻密に組み立てられた物語なのだと感心させられる。

最後の解釈は分かれそうだけど、個人的には幸せな結末だったと思いたい。

そしてみんな演技が上手い!
特に瑛太。
同じ演技なのに1章は得体の知れない怖さがあるのに、2章では普通の人に見える。
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