文o文文

怪物の文o文文のネタバレレビュー・内容・結末

怪物(2023年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

1:01:50 保利先生の後頭部とピンぼけの親達
同じ場面でも前回と全く違うもの
シンプルだが秀逸なワンカット

その次のタイル掃除も序盤と同じ動作のカットながら
最初は勤勉さを
異様な人物であると分かってからは潔癖さを表す
小学校のタイルにそんな頻繁にガムなどが付いてる訳もない


1:14:10 泥ガラス窓に雨
綺麗なぽつぽつ


1:25:00 音楽
綺麗さと不思議さ持つも心地良い
普通こんな音楽つくれない

1:36:00 音楽hibari
ずっと昔にCDでこの曲を聴いた時から、舞い散る桜のイメージの好きな楽曲
うわっ!ここで使った
気のせいか1:25:00に流れる曲と繋がりさえほのかに感じる

1:41:00
胸騒ぎに、セミの鳴き声を重ねる演出

1:38:55
SNS的な縦読み、横読みメッセージ
子供は何事も真似て覚えていく

逆に保利先生を信用していたと言える、メッセージが届いて欲しいという思いもあるからするのであり
しかしその先生に嘘を塗る、嘘をつく
辻褄があわないように思えるが、これ案外リアリティーがある
かまって欲しい相手ほど実は子供は嘘をつく

◯キャバクラ何だったん?
推測
火事をスマホで撮影する子供、保利先生を偶然発見
→保利先生が火事現場に居たと母親へ話す
→保利先生が建物で、火事よりも前、かつて居たのを見たことあると母親たちの間で噂
→親御さんから女性の先生へ保利先生の噂伝わる
→同僚先生にキャバクラいじられる
こんな感じかな

◯落ちた消しゴム取ろうとしたまま停止してるのは何だった?
不明


◯息子の性で悩む父(中村獅童)が水玉模様にオーバーオール着せるかな


◯俳優陣、瑛太、田中裕子、子役などなど素晴らしい
通り過ぎるエキストラの子供の表情さえ、良く撮れるなと思うほど



◯亡き父がラガーマンなのも男の象徴
組体操の崩れる場面、仲直りで握手要求の場面
男らしさを堀先生は口にする
この年齢の先生で男らしさを頻繁に口にするのはあまり居ない
推測するに方が先生は実はどこか違和感は学校生活からは感じ、片隅に持っていた
言うわけにもいかずに
だからこそ作文に気づいた時に大雨の中で駆けつけ伝えなければならなかった、謝らなければならなかった

廃墟トンネルを抜け電車の秘密基地を行き来するのは、ある意味これも男らしさでなく男の子らしさだと思う
(持論だが狩りに向かう、未開の地へ最初に向かうのは男であり、そのスリルを楽しむのが男の子の方が身に付いている)

性別とは白黒というのでなく、ホルモンバランスなど年齢でも変わると思っている
身体の外見が白黒としているだけであり

将来に男を選ばなかったとしても、男の子要素も同時に持っているのだ
まずは今あるものそのものを大人は認めるべきなのだ
同性どうこうと同時に、孤立の上の共有の友という複雑な関係
全てを恋愛か友情かなどと単純には分けられない

先は先で決めれば良い




◯観客の心のうちにあるもの
異質な人間は誰だ
組織は大丈夫か、いじめか、発達障害か
また保利先生の書物をチェックする趣味の行動
そういった時代の性質、コンプライアンス、仇探し

それとまた違う時代の性質、
LGBTやマイノリティ、弱者(雨に打たれるアル中の父中村獅童)
それらへの理解へとシフトしていく、前編サスペンス的な所から人間讃歌的な作品

それらをすんなりと飲み込ませるのも坂本龍一のピアノの下支え

aquaが染みる



◯是枝監督「そして父になる」のラストと同じように子供の歩む道が意味有り気

奏でに迎えられた星川くんは着衣のまま、退治のように風呂の水に浸かっていた
虐待らしき背中のアザと共に

廃墟電車と大雨、子宮と羊水
地下の暗い道とトンネル、産道
明るい外への解放、出産
叫ぶ、産声

しかしその間にある二人のセリフ
「生まれ変わったのかな?」
「そういうのは無いと思うよ」
「ないか」
「ないよ元のままだよ」
「そっか、良かった」

この映画見た思春期も含めた子供たちが、生まれ変わりを本気で信じてもおかしくない
子供ほど現実逃避的に想像をあつかう
ましてや子供たちの会話は死に敏感


ラストの解釈はどうなのだろうか
人は見たくないものほど、信じてしまうのかも知れない
しかしある一定の時まで(違和感程度まで)、
あるいは組織を守る集団は。それらへの論理を避けて逃る

しかし認めたとたんに一転、そうとしかみない
学校で居なくなった奏が飛び降りたと母が思うように、よぎったらそうとしか思えない

何処か最後は死んでないと思いたい人ほど、死んだのだという理由をみつけるような
願望と推理が逆を取ろうとする、人間の不可解さ?が働く

それはネットで情報がはびこる現代に、至ったてありきたりに起きているかも
文o文文

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