怪物だーれだ
2人が向かい合って、カードに描いた絵を見ないで自分の額に当てる。
お互いは相手のカードの絵が見える。
それから相手に自分のカードに描いてある絵の特徴を質問し合う。
その答えによって自分のカードに描かれた絵を当てるゲーム。
このゲームがこの映画の象徴だ。
自分が見たものの特徴を言うが、それは一部であって全体では無い。
何度も言い合って、推測して徐々にその答えに迫る。
ただしあくまで質問するのは、自分が思っている特徴だ。
相手によってはその特徴は合っていないと考えるかもしれない。
物語は初めは母親の視点から始まる。
それから先生。
最後に子供達。
徐々に明らかになっていく真実。
一部を見てもその全ては理解は出来ない。
その人の元からあった思考や思想、経験によって全ての物事は解釈されてしまう。
事なかれ主義の学校、モンスターペアレント、いじめ、虐待、LGBTQ+等、その人の理解によっても変わってくる。
登場人物の誰も本当のことは分からずに終わってしまう。
映画を通して観て、出来事のあらかた知ったとしても理解したとは言い難いえない。
何故ならシーン毎にその登場人物達への印象が異なってくるから。
家族に子供がいるかどうかでも印象が変わるだろう。
また複数回観ると、違った意味合いを持つシーンも多々ある。
(下手くそなトランペットの音とか。)
二転三転するストーリーとラストの哀しいけれど何故か救われたような爽快さ。
役者達の演技の確かさ。
(特に子役達の素晴らしさ。)
そして坂本龍一の音楽。
お勧めの映画です。
以下ネタバレ
校長先生の嘘とは何だったんだろう。
自分が運転していた車で孫を轢いたことを夫が轢いたことにしたことだろうか?
それとも故意に轢いたのに事故だったと夫に言って罪を被ってもらったことだろうか?
または孫が死んだのに全く悲しく無かったことだろうか?
それら全てのことだったのだろうか?
死んだ孫との写真をわざと母親に見えるようにして同情心を煽っていた。
またスーパーで騒がしい子供の脚をわざと引っ掛けて転ばせていた。
これらはどうしても孫を亡くして悲しんでいる祖母の行動では無かった。
そう考えると怖かった。