悪魔の毒々クチビル

ザ・ビッグ4の悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

ザ・ビッグ4(2022年製作の映画)
4.2
違うもん!僕アントニオだもん!!

引退した4人の殺し屋が育ての親の実の娘を守る為に再結成するお話。


インドネシアのアクションコメディ映画です。
イコ・ウワイス大好きマンの俺からしたら、監督が「ヘッドショット」や「シャドー・オブ・ナイト」と言った傑作を生み出して来たティモ・ジャヤントってだけで楽しみにしていた作品です。
とは言え今回はイコさんは勿論、ジュリー・エスティールやサニー・パン、ジョー・タスリムも不在なので彼等抜きでどんな作品が出来るかどうかも気になる所でした。
あ、主演は「シャドー・オブ・ナイト」にも出ていたアビマナ・アルヤスティアです。

2時間20分ってかなり長いんだけど、キャラが結構良くて普通に観られました。
4人をざっくり紹介すると
長男ポジションで抜群の戦闘力を誇るトパン
紅一点で血の気の多い一面もある一方、武器の発明も担当しているアルファ
恋人のシスカ(銃)をこよなく愛する凄腕スナイパーのジェンゴ
末っ子で戦闘はてんで駄目だけどおとりとかでサポートするペロー
と、それぞれ良い具合にアクションコメディ映えするキャラでした。
そこに血の繋がっていない彼等を引き取り一流の殺し屋に鍛え上げたペトルスが何者かに殺害され、一人娘の警察官ディナがビッグ4の存在を知り会いに行くって感じです。
一応人は殺しまくるんだけど、オープニングでは人身売買組織を壊滅させていたりと、警察が手を出せない悪を狙った義賊的な存在ですね。

いくらコメディと言えどそこはティモさんな訳で相変わらず人体破壊描写が強烈で素晴らしい。
子ども達の目の前で頭部が粉砕して血が吹き出る敵さん、ショットガンで顔面の殆どが弾け飛ぶ敵さん等々そういう所も抜かりないってだけで一安心ですよ。
あとアクションもかなり格好良くて、最近はちょいちょい近距離での銃撃戦を描いたアクション映画を観る機会があったんですけど、その中でもぶっちぎりでスピード感があって良かったです。カメラワークマジック。
敵側に「シャドー・オブ・ナイト」のイコさんを彷彿とさせるフェイントキックを放つお姉さんがいたのもポイント高いです。

その反面コメディ要素はまぁまぁで、個人的につまらなくはなかったんだけどめっちゃ面白かったかと言えばそうでもないので、そっちはあまり期待しない方が良いかも。
ディナが変な飲み物呑んでラリっちゃうくだりとか、ぶっちゃけ無くても良かったし。
序盤、ディナにバレないようにトパンが刺客を倒すシーンはコミカル&バイオレンスってな立ち回りで面白かったですね。
あと終盤トパンが突入の合図する時に「3,2,1…あ、ちょっと待った」みたいな流れも超ベタなのぶっこんで来たなぁと。
その距離なら絶対被弾するだろって局面でも全然当たらないのはもうちょい工夫して欲しかったかな。

主要キャラは皆好きなんだけど、アルファがお姉さん的な一面とノリノリな戦闘シーンなんかのお陰で一番好きかな。キザなジェスチャーが可愛いかよ。
長さがネックになるかと思いますが、俺はそれ以上にゴアいアクションが楽しめたので満足度はかなり高めです。やっぱ人体破壊が豪快なアクションは良いね。
ゴアは前のめりで観ていたけど、ジジイが手にタン吐いてそのまま握手してくる場面はキモすぎてちょっと目を背けちゃったよ。
続編ありきのエンディングでしたが、全然アリだと思います。

あとはまぁ…イコさんの良さを全力で殺しに掛かっていた現時点での最新作「わが拳に復讐を」をこの前改めて観て思ったけど、俳優もそうだけどスタントチームって大事だなって。
今作も俳優本人のアクションも凄く良かったんですけど、恐らくスタントがこなしているであろうアクションも貢献度でかくて上手いこと映していましたね。
またモーブラザーズやギャレエヴァさんとお馴染みのチームで仕事して欲しい。

一応ティモ・ジャヤント監督は「新感染」のリメイクを手掛けるようで、そちらも楽しみなんですけど俺としてはインドネシアのコミックの実写映画"The Blind of the Phantom Cave: Angel's Eyes"が非常に気になっていまして。
主演がジョー・タスリムでイコさんも出演するって話もありましたが、あくまで噂の範囲内でしかないですし調べても未だに公開が2021年のままなので当初は製作予定があったものの企画が頓挫した可能性が高いんですけど、もしこのキャストで実現出来るなら是非観てみたいです。