ポンコツ娘萌え萌え同盟

大江戸(秘)おんな医者あらしのポンコツ娘萌え萌え同盟のレビュー・感想・評価

3.5
最近綱吉の世の映画観たので、今度は家斉の世だ!
庶民の生活が爛熟した世だが堕胎はご法度の江戸の時代。そして子下ろしの医者は闇稼業。子下ろしの医者見習いの男・千吉を映した本作。ポルノ時代劇はいくつかあるも、時代劇で堕胎をテーマにした作品は物珍しく新鮮だった。

堕胎手術中に、江戸時代ではありえない腹部を映したレントゲン写真に枝を突っ込むカットが途中にあってそれが妙に印象に残る。また慎重な堕胎手術中に蠟燭で女性器を覆い隠す構図は爆笑してしまった。
演出面は音の印象。ある場面の行為中にバシャバシャとなる水屋の水の音。あと上裸の女が水子塚に身体を摺り付ける場面での赤子の泣き声が非常に耳に残る、

それにしても片桐夕子のおふじと、宮下順子のお菊自体が物語上で直接繋がることはないが、後半の千吉に犯された二人の女として全く対比的な存在なのはわかる。
だが主役の千吉は誰と対比になるだろうか。まず千吉の師で、千吉を性的に愛するおせん(絵沢萠子)ではない。
やはり他でもない登場はしない堕胎された子供との対比になるだろう。
堕胎を望むも色々。農村では凶作や貧困、江戸では情事の後始末。不義密通での腹から女医者あらしに利用された腹。
どれも理由はあれど、当たり前だが堕胎に"成功した"子は世を知ることはない。そんな存在こそ千吉の存在と対だなあと思った。