ポンコツ娘萌え萌え同盟

釣鐘草のポンコツ娘萌え萌え同盟のレビュー・感想・評価

釣鐘草(1940年製作の映画)
3.6
『姉の出征』と二本立てで鑑賞。『姉の出征』の高峰秀子が田舎の少女で憧れの姉の帰郷を迎えるのに対して、『釣鐘草』は師範学校に通う高峰秀子が弟の下に戻って来るという二本立て内で対比させたのが興味深いプログラム構成だった。

それにしても少女小説の巨匠、吉屋信子原作にしては珍しく強烈な女と女の関係性が見られないのが残念。
ただ『釣鐘草』も思春期の少女をよく映した作品ではある。
弓子と弟の雄吉の関係、余所と再婚しそうな母への不信感。
思春期故に心の複雑さ。弟のやり取りで若干の母性は垣間見えても母には有り得ない少女の境界線。弓子という一人の思春期の少女を演じた高峰秀子を見事に映してる。年齢的にもちょうど重なる頃だろうし。
橋に佇む少女を俯瞰的に映すショット、師範学校の同室で母親の話題でのカメラと表情。少女の心情の複雑さを強調している。

対的に見れば弟の雄吉は序盤とかは生意気な少年だが、子供心が故に純粋だ。姉に関しても母に関しても。その姉弟の年齢と心の対比が本作のドラマの要ではないだろうか。
終盤の急展開は正直疑問に思うところもあるが内容自体はそれなりに好みではあった。

ただ吉屋信子では『わすれな草』を最初に読み石田民三×吉屋信子といえば傑作百合ぴくちゃあの『花つみ日記』を崇拝してる(幾分か薄れたとはいえ)元百合厨の身だとやはり女と女の関係がないのは若干物足りなさもある。