シネフィル母ちゃん

ローサのぬくもりのシネフィル母ちゃんのレビュー・感想・評価

ローサのぬくもり(1999年製作の映画)
3.2
カラッとした雰囲気の中にあるジメジメとした感情。
主人公マリアの八方塞がりな状態に観ているこっちも息苦しくなる。
でも、マリアの母、ローサが出てきてから心がどんどんほどけていく感覚になる。

ローサは自堕落な生活を送るマリアを怒ったりアドバイスを言ったりしない。
娘を信じて無言のまま見守るだけ。
マリアの部屋に花を飾ったり、料理を作ったりして無言で娘を見守る。
あぁ泣ける。
母の愛の偉大さを学んだ。
でもローサ自身も決して幸せじゃない。
夫からの扱いもひどい。
それも観ていて辛すぎた。

マリアの部屋の下に住むおじいさんは犬しか話し相手がいない孤独な人。
でも、彼はマリアに出会い日々に少しずつ変化が出始める。
ローサはマリアだけじゃなくて近隣に住む孤独な老人に対しても温もりを与えるのだが、そのやり取りががほっこりした。素敵だなぁ。

孤独の中にいる娘と老人に対して無言で手を差し出すローサ。
本人は手を差し出してることを自覚していない。
ローサのおかげで救われていく2人。

とても悲しいお話だけど、悲観的なだけじゃなくて、優しさと光を見せてくれる素敵な作品だった。
でもやっぱり切ない。