ひろぽん

ミステリと言う勿れのひろぽんのレビュー・感想・評価

ミステリと言う勿れ(2023年製作の映画)
4.5
人気ドラマ『ミステリと言う勿れ』の劇場版

天然パーマでおしゃべりな大学生・久能整は、美術展巡りのため広島を訪れていた。原爆ドームの前で、犬堂我路の知り合いだと言う女子高生・狩集汐路に遺産相続の件でボディーガードとしてバイトの申し入れを受ける。彼は狩集家の莫大な遺産相続争いに巻き込まれ、遺産相続に隠された一族の闇の歴史に秘められた謎を解き明かしていくことになる。果たして汐路を守り、真相に辿り着くことができるのかという物語。


原作もドラマはどちらも観たことがないが、それでも十分楽しめる内容だった。

たまたま広島を訪れていた久能整が、毎回死人が出るという狩集一族の莫大な遺産相続争いに巻き込まれていくお話。

当主の孫にあたる、狩集汐路、狩集理紀之助、波々壁新音、赤峰ゆらの4人の相続候補者たち。遺言書によると、「それぞれの蔵においてあるべきものをあるべき所へ過不足なくせよ」というお題に従い、遺産を手にすべく、謎を解いていく…。
先祖代々続くこの遺産相続は毎回死人が出ており、8年前の候補者たちも自動車事故で死亡していた。この遺産相続に隠された世代を超えて受け継がれる一族の闇と、遺産相続に隠された真実を解き明かしていく。

とてつもない広さを誇る土地を持つ狩集家の敷地内にあるそれぞれの候補者に与えられた4つの蔵の謎を解き明かしていく。

不穏な空気が漂い徐々に候補者たちにも危険が迫っていくミステリーはとても面白い。早い段階で黒幕が何となく分かってしまうが、どんな意図があって行動しているかの謎や、過去の歴史が明かされていく後半の展開はハラハラドキドキして画面に釘付けになった。

それぞれの候補者が謎解きに行き詰まってしまった時に、整君の変わった視点での発言がヒントになり物語が進んでいく。

整君の着眼点は面白いし、彼の吐く台詞の一言一言にはハッと考えさせられるものが多い。


“僕は常々思うんです。…”
こと言葉の後に来る言葉はだいたい名言確定演出!


“子供はセメントが乾く前なんです。”

“子どもって、乾く前のセメントみたいなんですって。落としたものの形がそのまま跡になって残るんですよ。あなたは何を落とされたのでしょうか。”

“子供はバカじゃないです、あなたは子供の頃、バカでしたか?”

“証拠を出してみろというのは、大抵、犯人だと思っています。”

“どうして女性の幸せを決めつけるんだろう。”

“「女の幸せ」とかにもだまされちゃダメです。”

“犯罪とは、人間の努力が裏側に表れたものにすぎない。”

“下手に見えたという事は、それだけ目が肥えたという事です。下手に見える時が伸びしろです。”

“「弱い者は負けで 壊れないのが正しい」
そんな根性論はもう古いと思いながらも、
いざ自身が辛い状況になった時、
忍耐強く我慢することを選択していませんか?”

etc.....

普段何気なく当たり前だと思っていることに対して疑問を投げかける彼の言葉の意味は深い。

久能整という魅力的なキャラが炸裂していてとても好きな人物像だった。ストーリーも面白く最高だった。

キャストは超絶豪華でちょっとしたシーンにも有名な俳優をキャストしているあたりが凄い。

ラストも綺麗な終わり方でスッキリ。
久能整のような人がもっと増えたら世の中もっと良い方向へ変わるのかな。友達にしたら面倒くさそうなキャラだけど。それはそれで良き。
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