このレビューはネタバレを含みます
「我路くんだったら、どうしたかな」
という終わりがこの映画の新鮮なところだったと思う。
狩集家を巡る因縁は、劇中劇である「鬼の集」のアニメーションが強烈で、もうそれが事件の答えのようなものだった。
そこから推測出来る犯人も、動機も明らかなのに、犯人の口から語るよりおどろおどろしさがあって、覗いてはいけない真実を知ってしまった共犯という気にさえなった。
観客の共犯となるのは、狩集の4人の従兄弟たち。
犬神家の一族よろしく、遺産争いの話になるかと思いきや早々に話は変わり、本編内では新たな死を起こすことなく、さらなる深みの謎解きに変化する流れが綺麗。
彼らがおそらく狩集家を乗っ取った犯人の子孫であることをみんなが理解した上で、先祖の罪を背負えというわけではないが、被害者が名乗り出ないことで成立しなければ加害者側の罪は不問なのか。その土地は、その繁栄は加害者側が享受するのか。
「我路くんだったら、どうしたかな」
名探偵役の主人公・久能整も答えには至っていないし、部外者で大学生の彼が出来ることはそう多くない。彼の行いは間違っていない。
だけど気になる「我路くんだったら…」
私たちも考える「我路くんだったら…」
正しさに答えがあるのではなく、あの人ならどう考えるだろうかという思考と、
それを船上の表情で表す我路くん=瑛太の存在が良かった。
