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狎鴎亭(アックジョン)スターダムのMrOwlのレビュー・感想・評価

4.1
圧倒的な強面フェイスで、いつも苦虫を嚙み潰したような表情でシブイ、ゴツイ、強いおじさん的な魅力があるマ・ドンソクの演技力が炸裂するコメディ映画です。コミカルな演技に笑わせてもらいながらも、騙し騙されのクライムムービー的な要素も盛り込まれた脚本の良さもあり、楽しめました。舞台は2006年頃の狎鷗亭(アックジョン)。狎鷗亭はソウル特別市、漢江南側の江南区に位置する繁華街とのことで繁華街としての歴史は比較的新しく、南に隣接する清潭洞(チョンダムドン)とともに韓国でも最も高級なショッピングエリアとして知られているエリアだそうです。本作で初めてしりました。日本でいう銀座や赤坂のような感じでしょうかね。プラダやグッチなど世界のブランド店が軒を連ねていて周囲の高級アパートの住民や、芸能人などの利用も多い「セレブなショッピングエリア」狎鷗亭で派手な洋服に身を包んだマ・ドンソク演じるテグクと、以前院長だった病院で誰かに嵌められてしまい医師免許を剝奪された腕の良い美容整形外科医ジウ(チョン・ギョンホ演)が、あの手この手を駆使してのし上がっていく姿が描かれます。テグクは狎鷗亭生まれなのですが、何を生業にしているか誰も知りません(笑)。ただ街を歩くと顔が広く、また色々なコネもあるような様子が分かります。ただ付き合いが深い相手は、少々怪しい面々の模様です。一方の美容整形外科医ジウは、医師免許剥奪の憂き目に遭っていることに加えて、どうやら借金もある様子です。そんなジウの弱みに付け込んでヤクザまがいの実業家テチョンが美容整形ビジネスを始めるために、ジウを手を組もうと勧誘しているところに、テグクが現れます。儲けのアイデアはひらめくようで、テグクはテチョンを出し抜いてジウと組むことに成功し、二人でビジネスを拡大させて行くのですが、周囲にはその利益をめぐって色々な怪しい影が蠢いてきます。誰が誰を出し抜こうとしているのか、誰が誰を裏切っているのか、など犯罪サスペンス要素もあり、物語はコメディ要素での笑いとサスペンス要素の緊張感が良いバランスで展開していきます。マ・ドンソクの演技の幅の広さを感じますね。マ・ドンソク演じるテグクがゴッツイのと対照的に、ジウ(チョン・ギョンホ演)が細身でスマートなのもまさに凸凹(デコボコ)コンビ、という感じで良かったです。年代を2000年代にしたのは、美容整形外科としてのビジネスが現在ほど活況ではないために、あの手この手を使えば大きなビジネスとして一発当てられることのリアリティを演出するためなのかな、と感じました。そのため、登場人物の電話はスマホではなくガラケーです。ファッションの感じも少し今の流行とは異なる雰囲気が細かく詰められている感じでしたね。楽しめる映画でした。
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