花火

すべての夜を思いだすの花火のネタバレレビュー・内容・結末

すべての夜を思いだす(2022年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ひび割れた舗装とそこから生い茂る草にシャッターの降りた個人商店、老人ばかりが目立つ団地。そこかしこに顔を覗かせる死や滅びの気配を感じさせつつも、映画は決して嘆いてばかりではない。何と言っても本作で最も素晴らしいのは見上愛のパートだ。博物館に併設されたカフェで友人と話すシーンの、引きでその空間を写したショットには亡くなったもう一人の友人が居たと思える確かさが宿っている。二本同時に点けた花火を分け合う二人を捉えた引きの画面も同じく。写真を撮る、写らないその人のことを覚え続けていること。ともすれば雰囲気で作られた風に見えて、そういう覚悟がある映画だ。
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