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すべての夜を思いだすのryoのレビュー・感想・評価

すべての夜を思いだす(2022年製作の映画)
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作家の主題は一貫して記憶と記録の均衡にあるが、ひとつのイメージを異なる角度から捉えなおすために、作劇上、複数の主体が帰納法的に導入される。しかしこの主体たちがどうにもホモジニアスな存在にしか見えない。ジェンダーも階級も似たり寄ったりだからである。さらに主体たちはコミュニケーションを直截取りあうことも周到に避けられるため、主客の致命的な峻別もはじめから生じえない。すると自己目的化した形式だけが残される。実に君主主義的な映画だと思う。ダンスに興じる男女グループの匿名性を見よ。
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