なかむら

すべての夜を思いだすのなかむらのレビュー・感想・評価

すべての夜を思いだす(2022年製作の映画)
4.2
0.1ポイントは東京で生まれて育って今も暮らしてる自分の感傷に依るかもしれない

絶滅間近と思われる写真屋という職業がヴェンダースのPerfect Daysと本作に出てくるけど質感は別物。あちらは「時代遅れだけど現役」こちらは「記憶再生請負人」

ホームビデオのデジタル化を謳う看板は見たことあるけど「いまどきそんなの人に頼む?」と疑問視してたほうなので、映し出されるノスタルジックな光景に食らってしまった

古いテープに映ってる子供ら(兄弟姉妹がいる)は、いま30代後半からアラフォーくらい
※いまの二十歳はいまの40歳の半数しかいないという現実

老いた住人はベビーブーマー世代?
お婆さんが語る往時の情景は自分の記憶の中にもある
※ネットでよく見る「東京の人は冷たいのがいい。他人との距離感を弁えてる」という話題はそうじゃ無かった昭和の時代を覚えてるので違和感がある
※堀江敏幸の西尾久
https://oil-magazine.claska.com/tokyoandme/40804/
※坂井真紀の根岸
https://oil-magazine.claska.com/tokyoandme/37896/

着付けの仕事をしていた女性が映るシーンがすべて0.9倍速で再生されてるような間合い。意図された演出に感じる。この人がホームビデオに映ってた世代の現在かしら

「同じような景色ばかりだから迷いますよね」という通行人との会話、葉書の住所を頼りに訪ねるもすれ違い。
コミュニケーションの変遷を強く受けた世代のようにも感じられ特別に感情移入

花火する大学生二人を遠景で捉え、徐々にぼやけて行く撮り方!イメフォの3Fで個人映画を見てるような気持ちになる

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