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すべての夜を思いだすのざまざまこのレビュー・感想・評価

すべての夜を思いだす(2022年製作の映画)
4.7
街に吹く微風、木や葉の擦れる音、その他街から生まれる音の数々。
平日の人もまばらで静かに穏やかに流れる団地周辺の時空の違う感覚の心地よさ。
三者三様、時にすれ違いはすれど交わることもなく全く違う人生を過ごしており、それを内包する多摩ニュータウン。
とにかく劇的な事は全く起こらないが故に、日常に生きる人生の機微がじわじわと伝わる作品。三人の主人公を地味だが丁寧に描いており、どこまでも見続けていたかった。
冒頭の公園の長回しのシーン、演出、ややぎこちないカメラワーク含め素晴らしかった。
また、すべてソフトフォーカス気味なピント合わせ、彩度低め、透明感を強調した映像作りも素晴らしかった。
2時間足らずの作品だが、映像で敢えて語り過ぎず観るものに余韻を与える演出のため良質な小説を読んだ時のような深い味わいを感じた。
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