ハル

すべての夜を思いだすのハルのレビュー・感想・評価

すべての夜を思いだす(2022年製作の映画)
3.7
『ぴあフィルムフェスティバル』に参加してから1年半、とうとう公開されるということなので思い出しながら綴ってみる。

とりとめない日常を描きながら、『多摩ニュータウン』で起こる小さな出来事が重なり合うお話。
三人の登場人物の仕事や生活がシンクロしていくが、決定的にまじわることもなければ干渉することもない。
全てを描き切らない美学を感じさせる、フラットな邦画らしい物語だった。

端的に面白いかと問われると…
明言を避けた作り、土地柄も『多摩』限定なので、馴染みのない方は退屈に感じてしまう可能性も否定できない。
また、映画・ドラマで活躍中の見上愛は知っていたが他のキャストは存じ上げず。
そのため、キャスト先行の視聴も微妙かな。

特に大きな事件が起きるわけでもない。
三人それぞれのちょっとした心の動き、機微を捉えながら、誰かの考えやその日の思いにフォーカスしていく。
美しく自然な多摩の街並みと共に。

ボクの大好きなMr.Childrenの曲に『彩り』という曲があって「なんてことのない作業が この世界を回り回って何処の誰かも知らない人の笑い声を作ってゆくそんな些細な生き甲斐が 日常に彩りを加える」こうした歌詞があるけれど、そんな穏やかで優しいフレーズがぴったりな映画でした。
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