火土水風の四つの元素たちがともに暮らす世界をディズニーピクサーが描く…と聞いて、
えっ多様性の話? ズートピア(ピクサーじゃないけど)でもうやってね…? と思っていた、本作見るまでは。
みんな違ってみんないい! それぞれの個性大事にしよ! て話だよねきっと…? 節々でもうそれピクサー歴代作でやってきたテーマでは…?? と思っていた、本作見るまでは。
それが、もうしょっぱなオープニングで、「あ…そっちね…!!!?!??」と驚かされた。
ストーリー展開は王道っちゃ王道なのだが、この初っ端からもうガンガンに出される主人公たちの設定に、今作の全てが込められている。そして、その設定が打ち出されることで、王道のストーリーにも新鮮味が出る。
そして、もう私が言うまでもないが、ピクサーの映像の進化は見るたびに細かなところがどんどん進化していくのを感じる。
ただ、すごいのはただ単に「リアルに近づいている」とかではないところ。
「私ときどきレッサーパンダ」もそうだったが、モッフモフのリアル質感を丁寧に描きつつも街の背景はなんだかレトロな日本のアニメを彷彿させるものだった。
そういう、世界観の体現であったり、アニメーションとしての遊び心、演出、全てが変態的に計算しつくされてる「映像の進化」を今作でも感じて、震えた。
燃える炎、形を自在に変える水、ガラス、草花などなど…。
時代を反映したテーマと、映像の革新。この二つの意味で、「今のピクサーだからこそ作れた映画」なのかな、と感じた。
その上で、「愛しているのに触れられない」という切なさを丁寧に描き切る熱いロマンスもあり、老若男女楽しめる映画にしつつもド直球メッセージを説教くさくなく投げてくる。その塩梅がやはりすごいなと毎度のことながらあっぱれでございます。
以下ちょっとネタバレ
地味にすごいなと思ったシーン。
ウェイドのお家にアンバーが招かれたシーンで、叔父さん?ぽい人から「(移民なのに)きれいな標準語話すね!」みたく言われるところがあって、
ウッ…マイクロアグレッション🤢と思って見てたら、それを聞いたウェイドがめっちゃ「オイ……」って表情してて、ウェイドお前めっちゃいいやつだなと思うなど。
パンフ見たら、ピクサーのスタッフで100人以上の移民、または移民二世の人たちを集めて意見交換をしたらしい。そういう積み重ねが、こういう細かなシーンに生きてるのかなと感じる。
ボイスキャストも多国籍。
主人公アンバーの声めちゃいいなと思ってたら、「ハーフオブイット 面白いのはこれから」の主演の子ではないか!!!✨✨✨
火のキャラたちのシーンでは音楽や伝統?衣装がなんとなく中東、アジア、メキシコやらが混ざってるような印象を受けた。とっても素敵。
あと、安直に最後が「この2人のおかげで社会が変わったよ!!」みたくならないのもリアルだなと。
政治も制度も簡単に変わらない。
でも、アンバーとウェイドをはじめ、エンドロールでくっついてた面々などがこれから草の根でじわじわと世の中の当たり前を崩していくのかもな…なんて希望ももてた。