単純に絵が綺麗。
街の造形や各エレメントたちの様々な生活感
そしてエレメントたちが触れ合った時の化学反応
火のエンバーと水のウェイドの爽やかな恋物語として
それだけで十分に楽しめる。
それに加えて各エレメントは人種のメタファーであり
本作は他民族ならではの移民文化のこれからを
描いているようでもある。
モチーフとしてはアメリカへの南ア圏移民なのかなあと
推測されるが
それこそ自らのオリジン、イデオロギーを保ちつつ
苛烈な時代を必死に生き抜いた移民第一世代、
そして自身のオリジン自体は当たり前のものとして
自分らしさを偽りなく大事にしたり
他のオリジンと分かりあう方に向かう移民第二世代。
この世代間の融和という点でとても綺麗なお話。
ラストの父娘の向き合うシーンなんてかなりグッときた。
個人的に偉いなと感じるのは
エレメント同士での感情の対比も丁寧に描いていること。
火から水への剥き出しの対立感情はもちろん
水から火に対しての悪意のない見下しを描いているのは偉い。
「あなた発音が上手いのね」なんて
うわって思っちゃったもんなあ。
物語的にはちょっとキュッと急カーブを切った印象を
若干受けなくもないものの
かなり志高い、そして爽やかで綺麗な佳作。