火や水というエレメントを擬人化し、各エレメントを違う人種に例え、人種のるつぼとなる街を舞台にしたストーリーで現代的なテーマを映し出す。
メインキャラクターとなる火のエレメントの、炎ゆらめく顔のグラフィックを見てるだけでも細部へのこだわりを感じるし、エレメント・シティの世界観もさすがピクサーというクオリティです。
ただ、ストーリーとしてはちょっとシンプル過ぎたかなぁ…。
ピクサー印の映像美に彩られた『ロミオとジュリエット』というべきラブストーリーなので、ピュアに真っ直ぐ心を打つ部分はあるんです。
交わらないはずの火と水が手を合わせる。その過程や光景は純粋に美しい。
ただ、ここ最近のディズニーやピクサーはずっと「多様性」を描いてきただけに、ストーリーが王道ということで既視感が強いのも事実。
動物を使って人種格差を描いた『ズートピア』もあったし、感情や魂といった目に見えない要素の擬人化としては『インサイド・ヘッド』や『ソウルフル・ワールド』もあった。
いろいろ作品を観続けてきていると、別の作品でやったよなぁとどうしても思ってしまうというね。
でも、繰り返し描いてきているメッセージは普遍的なものであることを確か。たまたまこの作品だけを観た場合、ストレートな内容である分、しっかり心に刺さるのかなとも思いました。