このレビューはネタバレを含みます
想像していたストーリーを2回裏切られた気持ち。社会問題をメインに取り上げた話かと想像していたら恋愛物語だという評判だったので観てみたら、人生の話だった。
親が立ち上げた店を継いでほしい父親の期待に応えようと頑張るけれど、本当にやりたいことでないからこそ癇癪を起こしてしまうエンバー。お客さんの話の通じなさにブチギレるところ、あまりにもわたしの日常すぎた。わかるぞ。
親たちへの愛ゆえにお店を守りたい気持ちは本当なのだけれど、それは己のライフワークとしてできるものじゃないんだよね。それをダメな娘でごめんね、と泣くところ、ものすごく感情移入してしまいしんどかった。
しかしエンバーのお父さんが芸術を遊びと捉えたりせずに「仕事も趣味もどっちもやればいいだろう」とか無茶言う人じゃなくて良かった。
きっと将来エンバーは直接じゃなくとも親の守ってきたものと芸術の力で関わることがあると思う。そのときまたエンバーも親も救われるのではないのかな。
社会では理解されない人どうしであったとしても、同族のコミュニティにずっと閉じこもっていたら息苦しくもなるよね。ウェイドのように異質の存在だからこそできる心のやり取りもあると思う。ウェイドが素直で、物事をシンプルにできる人で良かった。
これはアジア系の移民の話でもあるのだろうなあとふんわり思っていたら、ながよしちゃんが正解の感想言ってたのでなるほどと思った。韓国なのね。共通語が上手ですねと言われてここで育っているのでと返すあの感じとか、作り手側にそういう体験があったのだろうなと想像してしまった。
画面は好みではなかったけれど、語りたいものを感じられたので良い作品でした。