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「生きる」大川小学校 津波裁判を闘った人たちのSoulFoodKitchenのレビュー・感想・評価

4.0
今こそ多くの人に見て欲しい映画です。
この映画は2011年の東日本大震災で大川小学校の生徒達を津波で亡くした親御さんである遺族の闘いの記録です。
見ていて終始、重くて辛かったです。
親御さん達の願いは一つです。
自分の子供は、どうして亡くなったのか?
何故、すぐの裏山に逃げる事が出来なかったなか。
その日、起こった真実を知りたいのです。
遺族の方は裁判と言う方法は起こしたく無かったと言ってます。
裁判に踏み切ったのは、学校側が真実に向き合おうとせずに真摯で誠実な答えが得られなかったからです。
さらに都合の悪い事を隠そうともしました。
亡くなった子供達に心に寄り添おうとしなかったからです。
親御さん達は、その時に我が子の側にいてやれなかったと、毎日、自責の念に苛まれます。
せめて、その日、何が起こったか「子供達の最後の姿」を知りたいのです。
遺族の方々は裁判の為に、コツコツとデータを集め証拠を固める地道な活動を続けてきました。
その姿勢には頭が下がる思いです。
親御さん達は一日も亡くなった我が子を忘れる事は出来ませんでした。
あるお父さんは「当時は毎日、死にたいと思ってた、でも今は残された命を大切にしたい」との事を言ってます。
その間も「そんなに金が欲しいのか」等と脅迫や心無い言葉も浴びせられました。
コレは亡くなった子供達の為の闘いでした。
力になる弁護士さんにも巡り合い。
計り知れない努力の末に裁判に勝ちます。
その高裁の判決は画期的でした。
2審仙台高裁の判断は教育現場に責任を押し付ける事なく、市、県、国の「組織的過失」によって子供達の命が奪われたと断罪しました。
つまり「地震の前の備え」である平時の予測や防災対策を重視しました。
親御さん達には「胸に刺さる心ある判決」でした。
東大の米村教授が映画の中で高裁判決について「もしも、この判決がなかったら1万7000人の犠牲者を生んだ東日本大震災は日本社会に何も教訓を残さなかったと思う。この判決は大川小の子供達と日本社会が変われる重要な第一歩になる判決になると思う」とコメントしてます。
大川小学校で子供達を亡くした親御さんの闘いは、亡くなった我が子為のみならず、震災で犠牲になった全ての人達、そして今、地震国の日本に生きている我々すべての為の尊い闘いだったのです。
誰にとっても、いつ地震等の被害の当事者になるか、わかりません。
映画は、そんな僕達自身にも考えさせ問いかけています。
何よりも「命の尊さ」を静かに訴えかけてます。
映画はラストの裁判官の「学校が子供たちの命の最後の場所になってはならない」と言う言葉で終わります。
明日(11日)は東日本大震災から12年目です。
改めてご冥福をお祈りします😔
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