SR400

「生きる」大川小学校 津波裁判を闘った人たちのSR400のレビュー・感想・評価

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一番素晴らしいと思ったのは東大の若い法学の先生の意見。高裁判決を尊び、その価値を「前向き」にとらえていた。非常に同感する。このときだけ一気に涙がでた。子供が親より先にいってはならない。そんなことは最大の悲劇だと思う。しかも小学生である。かわいそうに。かわいい盛りだっただろうに。先生から避難せよと言われて手を繋いで進んでいたまさにその先の方向から、黒山のような津波がこちらに襲って来て、、。得体の知れないものに正面衝突したようなものだ。なんてかわいそうに。想像しただけで胸がつまる。
親というものは、子供そのものにもう一度帰って来てほしいと思うのが最初からの最大の願望であろう。それはわかる。痛いほどわかる。賠償金の額などの話ではない。しかし、しかしである。とても超えられそうもないこんな悲劇の壁を乗り越えていくために、どういう経緯があれば、親というものは、納得して、子供との別れが出来たのだろうか。納得なんてしょせん出来ないことはわかったうえで、言っている。なんか最初の説明会が一番ダメだったような気がする。はじめっから、ボタンをかけ間違えていたようで。この映画には描かれていなかったが、亡くなった先生方にもご家族がいたでしょう。よかれと思ってしたことがこんな結果になり、自身も亡くなってしまった。実は亡くなった先生方だって、とてもかわいそうです。わざと悪い結果になれと思った先生は1人もいなかっただろうに。ただ、ただ、ミスリードでした。ほんと、1分もあれば登れる裏山があったんだから、何はともあれ、みんなで、登ってしまえとなればよかったのに。そんなこと、後からは、いくらでもいえるんですよね。いってみて反省。
さて、現社会を振り返って考えると、いまある、様々な組織はどうなんだろうか。組織内の上下の壁、理不尽なことを上からいってくる組織、色々、問題が、たっくさんあるんじゃないだろうか。いざというとき、思い切った意思決定ができなくてオロオロしたりしないか。責任問題になるのが怖くて正しいことを正しいと言えない空気がよどんでいる組織はないのか。なんかたくさんありそうだ。そんなことまで、考えさせられた。ちなみに、裁判官だって、人間である。全知全能の神さまではない。高裁の裁判官の言葉は親たちの心に届いたようで良かったなと思った。経緯がやはり大事なんだと思う。
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