タイトルから想像するような悲しい作品では全くなく、むしろずっとクスクス笑ってしまう短編コメディ作品だった。
愛する恋人からの別れの手紙に悲しむ間もなく、手紙を書くのに手こずってしまうからだ。
万年筆の筆先にぴったり合うものが出てこないし、インクは溢すし、机は傾くし…。
「なんでそうなるの?」と思ってしまうくらいに、主人公の手紙を書く行為を妨げる小さなハプニングが次から次へと彼を襲う。
そして我々は、失恋の悲しみよりも手紙をなかなか書けないもどかしさにイライラするという、本末転倒な事態に笑いを抑えきれない。
にっちもさっちもいかない状況が、失恋のショックを和らげるというか、感情が自然と悲しみから怒りへと切り替わざるをえないというのが、あまりにおかしかった。