カツセマサヒコ

Mr.Children 「GIFT for you」のカツセマサヒコのレビュー・感想・評価

Mr.Children 「GIFT for you」(2022年製作の映画)
4.2
(12歳で『終わりなき旅』と出逢ってからほぼライブ全部行ったあげく自身の小説にまで楽曲を登場させてしまった現在36歳のミスチルオタクが書いています)

すみません正直なめてました!
ツアーのダイジェストでしょ?くらいのつもりでいました! こんなん泣くやん!!!

いや要約したら「Mr.Childrenの楽曲やライブと、そこに紐付くファンのエピソードを見せるだけ」なのかもしれないですけど、本人もファンも分かっているように、僕らファンの日常にMr.Childrenの音楽はとっぷりと染み付いているわけですよ。

たとえば同じ「口笛」だってファンにはそれぞれ別のエピソードが存在していて、それぞれの「口笛」がある。そういう当たり前なんだけど実感はしづらい感覚を、この映画は2時間かけて丁寧に丁寧に紡いでくれていました。

そうそう、俺が言いたいMr.Childrenって、こういうことなんだよ!! 4人の楽曲なんだけど、みんなのMr.Childrenがいるって、つまりそういうことなんだよ!って感じです。

フルで流す楽曲も多くて嬉しいし、その選曲とタイミングも最高なんですけど、それよかファンのね、つまり一般人じゃないですか、その人たちの語りとか、ライブ中のお客さんの笑顔とか泣き顔だけで、いちいち涙腺ぶわあと緩むわけですよ。どうなってるんだおれの涙腺。

でもよくよく考えれば世代を超えた語りや、離れてしまった人のこと、失くしてしまった命のこと、挫折してしまった夢のこと、そこから出会えた新しい目標のこと、うまくいかなかったときのこと、なんてことのない日常のこと、それらのエピソードはまさに人生そのもののようで、僕とは確実に違う経験のハズなのに、たしかに似たような感情は抱くことができて。その背景にうっすらとMr.Childrenの音楽があるからこそ、これほど愛おしく思えるのだと実感します。

君から僕へ
僕から君へ
最高のギフトをありがとう
君から君へ
あなたからあなたへ

「Gift」のライブ版で歌われるとおりのメッセージが、この映画にはしっかりと込められていました。Mr.Childrenとそのスタッフからファンに送られた映画であると同時に、ファン同士が励まし合い、讃え合っていることを教えてくれる映画でもありました。

30周年の締めくくりに公開されたこの作品、彼らと僕らをつなぐためのマスターピースとして届けられていることを嬉しく思うと同時に、ふらっと映画館でこの作品を観たひとは一体どんな気持ちになるんだろう、ファン以外の人にはちょっと申し訳ねえな、でもごめん、俺、ずっと好きだったからこんなに興奮してるんだよ、許してよ、と言いたくなりました。

本当にありがとう!ありがとう!