松井の天井直撃ホームラン

きみの友だちの松井の天井直撃ホームランのレビュー・感想・評価

きみの友だち(2008年製作の映画)
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↓のレビューは。今はもうなくなっってしまった映画レビューサイトに、鑑賞直後に投稿したレビューを。こちらのサイトに移行する際に、以前のアカウントにて投稿したレビューになります。

☆☆☆★★★

つらい気持ちになるから気にしない方がいい。

わがままな主人公の女の子が成長した姿が石橋安奈。小学校から中学・高校時代にそれぞれ出会った女の子や男の子との交流を、その時に写した写真を通して描く。

ある時は固定で、またある時は緩やかに移動しながら。長廻しを多用した撮影は、その時々で少年少女達が感じた感情の揺れ動きを巧みに切り取っており、これまで『ヴァイブレーター』を始めとして孤独な大人の女の“性の寂しさ”を的確に表現して来た廣木隆一監督の真骨頂が、10代の子供達のピュアな姿をも活写して生かされています。いや、これまでにも『恋する日曜日…』シリーズで高校生の女の子の日常を高い演出力で描いて来ただけに、それ程驚く事も無いのかも知れません。
今回は原作が有るだけに(原作はまたしても未読です。重松作品は数作品読んだ事有り。)主人公の彼女の周辺に位置する男女のエピソードが単独で描かれて行き、その結果として主人公の女の子にとって、(画面からは)途中から居なくなる親友の女の子との絆・信頼は、この子にとって如何に大きな存在だったのか。人生を生きて行くにあたって、親友の存在が如何に大切か…を教えてくれます。
主人公を通して観客には過去の出来事が伝わって来る為に、彼女の知らない出来事等が描かれるところが多いのは、少し気になるところも無くは無いのですが、全編で「実は…」とゆう回想劇でも無いので、それ程気にせずとも大丈夫と言ったところ。
寧ろ弟の幼なじみのエピソードと、柄本時生のエピソードがほんの少し違和感がある程度でしょうか。

(2008年8月11日新宿武蔵野館3)