金柑

英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2022/23 ロイヤル・バレエ 「赤い薔薇ソースの伝説」の金柑のレビュー・感想・評価

3.7
全体の感想としては、ウィールドン振付×ボブクロウリー美術×タルボット以外の音楽で新作が観たい。
私がアリスの音楽を覚えすぎなのもあるかもしれないけど、ジョビータルボットの音楽の要所要所でアリスの幻影があまりにも濃すぎて、特に1幕はかなりの頻度で「ビジュアルが全く違うメキシコ味のアリス…」と感じていた。特徴的なメロディや音階、特徴的なパーカス使い、こういう場面にはこういう曲調やこういう変化、があまりにも同じ。気難しい(と便宜上言う)ママ・ラウラに掠れたバイオリンソロ当てたらそれはもうハートの女王じゃん。他にないのか。
とはいえ場転はどれも凄いし美術はマジでえげつない。マーージでえげつない。1幕ラストあれ何?!どの幕もラストがあまりに強すぎて、途中どんなことを思っても最後にはいやーすげえ…と思わせてしまうのずるいよ。

夏の虫が鳴くと暑さを感じる、の概念に関しては日本とメキシコ似てるんだろうか。暑い夏の夜。
あと月並みだけど、素肌と同じ色のタイツとトウシューズはやはり良い。
全幕バレエで原作を全く知らない作品ってなかなかないと思う。おとぎ話のように誰でも知ってるとはいかないので、パンフのページ数をいつもより増やしてまで詳細あらすじ載せたのは正解だと思うし(幕の切れ目違ってたけど)、ダーシーもぜひ登場人物紹介とあらすじは読んでねって言ってたし、インタビュー前の説明パートが明らかにいつもより長くてちょっと笑っちゃってた。さすがに予習ゼロで臨んだらここまでついていけてるかどうか分からない。

初演あて書きだから当然かもしれないけど他のキャストで全然想像つかないなー。見てみれば意外とそうでもないのかな。あでも茜さんのママは見てみたいな。

フランチェスカの演技好きだな…映画ロミジュリ見返したくなった。マルセリーノとのパドドゥもさすが仲良し二人の息の合いっぷりなんだけど、あまりにそつなくこなしているので意外とあっさりして見える気もした(ファンの強欲)
女性ダンサーの上裸はさすがになかなか見る機会ないので背筋………!と震えた

フツメン猫背(に見える)マシューボール素敵。
ゲルトゥルーディス(かっこいい名前…)のソロパートはちょっとトリッキー過ぎて全員こなすのに精一杯感はあったけど、あのソロパートに至るまでの場転はやはりすごかった。冬物語で見たことあるな〜ってパーティもセザールコラレスが素晴らしかったので満足。
ダイヤモンドセレブレーションに引き続いてジョセフシセンズも本当に素晴らしい。
子役の男の子めちゃめちゃ体動くししなやかだしめちゃ将来有望では。
ナチャ役の方物凄く背が高くて醸し出す空気も好きだった。他に何かの役で見たことあるのかな…
アンサンブルはアンサンブルに終始しているという感じで、カメラワークなのか演出からしてそうなのかアンサンブルはなかなか追いにくかった。

というか生で観る機会はほぼないだろうからあれだけどカメラワークで魅力1/4減はしてる気がする〜〜〜〜アップ多用しすぎでは………表情はもちろん素敵だけどそもそも身体芸術なんですけど………トリッキーな登場は登場してから映すんじゃなくて登場するぞって瞬間から見せてほしいんですけど…2幕のラストとかもっと効果的にできただろうになんかガチャガチャカメラ切り替えてたら終わったじゃん。ラウラの魅力もっと出せたでしょ。勿体ない。
金柑

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