ひげしゃちょー

その夜の侍のひげしゃちょーのレビュー・感想・評価

その夜の侍(2012年製作の映画)
3.8
5年前に妻をひき逃げされて時間が止まったままの中村。 5年前に女性をひき逃げしてあいつが勝手に飛び出してきたんだから俺は悪くないという自己保身の典型ともいうべきサイテー男の木島。 妹を殺されたにも関わらずサイテー男の木島にゆすられる青木。やり方はおかしいけど中村には幸せになってもらいたいという思いが強い。 ひき逃げの際に木島と同乗していたにも関わらず木島への恐怖心から木島の暴走を止められずいる小林。 木島に殺されかけたのに一人になりたくないからなぜか木島と行動する星。 木島に脅されたのに部屋にあげる間がらになった警備員の関。 出てくるキャラがそれぞれどこかずれている。 突然失った妻への思いが断ち切れずにいる中村が毎日をただなんとなく生きている木島へ何をしたかったのか。 最初は本当に殺そうとしたのかもしれない。 ただ、殺すことで解決するのか自分でもよくわからなかったんだろう。 罪を意識を感じてほしかっただけなのかもしれない。 木島のようになんとなく生きていきたかったのかもしれない。 その辺りがよくわからず少し消化不良。 16ミリフィルムで撮影して混沌とした世界観を演出をしていてよかった。 男達の狂気と熱気が凄く伝わる画になっており、とても人間的なニオイが漂う作品になってると思う。 特に雨の中で中村と木島が対峙して揉みあうシーンはとても印象的。泥まみれになりすぎてどっちがどっちかわからなくなったけど。 山田孝之の演技は圧巻の一言。素晴らしすぎる。