このレビューはネタバレを含みます
各キャラクターがどうしてそういう行動をするのか、というところが説明不足で納得いかないところが多かった。
まず、轢き逃げ犯・木島のツレの小林。
この人は轢き逃げの直後から木島のことを怖がっていたのだろうか。
だったら、木島が刑務所に入っている間が疎遠になる絶好のチャンスではないか。
舞台が地方都市らしいから、大都会に黙って出て行ってれば、
出所してきた木島に家に押し掛けられることもなかったではないか。
そして、元轢き逃げ犯の木島。
彼は「SEXやりてー!」と、何の関係も無い行きづりの女性を脅してSEXに持ち込む。
しかし、居候している小林家の奥さんには手は出さないし、嫌らしい目で見ている気配もない。
星や青木に暴力を振るったのは、中村から脅迫状が届いてイライラしていたからなのか?
小林が家に入れるくらいだから、本当は、轢き逃げする様な奴だけど、昔はそこまで暴力的な男ではなかったのだろうか?
木島と小林が共依存の関係にある事だけは分かるが、それは幼い頃から同じ施設で育ったりしたからなのか、などの情報は全くない。
中村の妻の兄、つまり義兄の青木。
この人は、中村の工場で働いてる職人たちから余り好かれていない。
しかし、5年経っても妹を納骨しようともしない義兄に見合い相手を世話してやったり、大雨の中を探し回ったりするので、ちょっと強引でスカしてるけど、本当は情が厚い良い奴なんだよ、って事でいいのだろうか。
最後まで観たのに、なんか素直にそう思えないキャラだった。
そして、由美子。この人が一番分からない。
普通、今時携帯持ってるんだから、相手が脅してきたら、トイレに向かった隙に警察に通報すればいいではないか。
まあ、後半に出てきた様子から、この子も孤独を抱えたかなり変わった子でした、という事でいいのだろうか?
そして、妻を轢き逃げされた中村。
小さい町工場でも、従業員が数人居る一国一城の主なのに、復讐していいのか?
それじゃあ会社潰れちゃうよ、と途中まで彼にも納得がいかなかったのだが、最後に木島に放った言葉を聞いて、
「こういう事もあるよね」とか、「自分に一番腹が立ってたんだよね」
と思えたので、彼のあの結末だけは、私は納得いきました。
木島は命を狙われ、中村から「君はなんとなく生きてるよ」と言われた事によって、自分には命がある、まだ生きている…という実感を持てたのだろうか?
キツネが堕ちたみたいに、あの局地的豪雨と共に生まれ変わってくれていたらいいのだけれど…、あのラストの様子では無理だったのかな(汗)。