田山信行

ウルトラマンデッカー最終章 旅立ちの彼方へ…の田山信行のレビュー・感想・評価

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TV本編にて最終決戦後にデッカーへの変身能力を消失したカナタ、その後の物語。最終回で光の彼方へ消失したアスカとは対照的に、人として仲間たちと共に未来を担い生きていく。ウルトラマンありきではなく人間ドラマへと帰結していくのが素晴らしい大団円。

俺は大変満足したけどコレは子どもにはどうだったのだろう。複数のウルトラマンが客演する様なお祭り映画ではなくウルトラマンの活躍シーンは決して多くない。デッカーへの変身も終盤まで待つことになる。

実際、俺の隣に座っていた子は早々に飽きてしまっていたようだ。1時間以上物語に集中するという精神性がまだ育ってないほど幼かったのもあるだろうけど。

あと低年齢層向けの映画に関しては長々と本編前の予告編なくて良いと思う。ここも本編が中々始まらずに子どもがヤキモキしていた。隣でグズる子に俺も少し同化してしまい画面暗転のたびに次の予告編、次の予告編ばかりで「早く始まれよ!!」と俺までイラついてきた。幼児に高校生の青春キラキラ映画の予告見せてもなぁ……。

子どもをグズらせない様にどうにかスクリーンに注視させようと気を配るお母さん大変だ。そんな中に俺のような寂しいオッサンが入り込むのも申し訳ないなとも思うんだけど。子どもの素直なリアクションも一緒に体感できるのもまた映画館で観ることの醍醐味。多少ワヤクチャなくらいでいい。

大人の俺には全く分からなかったが宇宙人が複数登場して人間が意識を奪われたりする描写等あるからか子どもから怖かったという声が漏れ聞こえた。隣の子もギャン泣きしてたし。スクリーンで迫る怪獣の迫力もあってかなあ。

お祭り的な作品に比べれば地味は地味なんだが、ディナスは単体の戦闘能力は決して高くないため怪獣カードを巧みに駆使して闘うというデッカーとの能力の差別化や本作のラスボス怪獣のギミックなど細かい趣向が凝っていて良かった。ドラマの高まりはTV本編から含めての集大成。
田山信行

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