夢オタク

霧の淵の夢オタクのレビュー・感想・評価

霧の淵(2023年製作の映画)
5.0
イヒカはおじいちゃんとお母さん、そしてお父さんのこともちゃんと好きなんだなって。ずっと無表情で浮ついたところがない淡々としたイヒカが、お母さんと笑い合ったとき、初めて声を張って感情をみせたとき、思春期の、恥ずかしくてあまり表に出すことはないけど、親のことをちゃんと好きで心配したり想ったりする絶妙な心を読み取ることができた。少なくとも私にはそう届いた。2人が歩く姿、風景を眺める姿が同じで、あぁ親子だなと感じさせる瞬間が愛おしかった。おじいちゃんの背中を追っていくところは、夢か幻か、なぜか切なくて涙が流れた。終わってからも余韻で涙が止まらなかった。

美しい映像と音楽が、観客への伝え方の助長をするように心地よい余白を与えてくれる。

人も、自然も、丁寧に丁寧に、そして繊細に捉える所が圧巻だった。

舞台挨拶で感じた村瀬監督の選ぶ言葉や謙虚でユーモラスな人柄が人を惹きつけ、これからどんどん世界で活躍していく方になるのだろうなと。また良い作品に出会った。
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