なんか口と声が合ってないなと思いながら観ていたのだが、それもそのはず、オリジナル音声はイタリア語なのだ。アメリカ映画では「国は英語圏じゃないけどとりあえず英語で我慢してください」的なことが多くあって、これもそういう映画だと思っていた。
でもこれは『幸福なラザロ』のアリーチェ・ロルヴァケルが監督したイタリア・アメリカ合作の短編なのだ(ロルヴァケル自身も修道院長役で出演している)。ディズニープラスはこのあたりが不親切というか、前に設定した音声や字幕が引き継がれがちなので、英語吹替のまま観てしまった。そりゃ口と声が合わないわけである。なので、これからこの映画を観ようと思っている人はそのあたりに気をつけたほうがいいです(もちろん英語吹替で観たいという人もいるんだろうけど)。
作品そのものについては日本人の自分には理解しきれない部分があるものの、少女たちが浮いているショットはなんだか宗教画のパロディみたいで面白かったし、主要な登場人物であるセラフィナの表情が素晴らしくて引き込まれてしまった。気が強いわけではないのだけど、すべてを見通してしまっているような瞳。あの子役をキャスティングできた時点でこの作品の大部分は完成したのでは。
奇しくも昨日『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』を観たところだったので、イタリア軍が調子にこいている時期という設定なんかがかぶって不思議なシンクロニシティ(というほどのものでもないが)だなと思った。