このレビューはネタバレを含みます
数年ぶりに突然帰ってきた夫。
妊娠した彼女を突然連れてきた息子。
それらは水面に投じられた石のように
静かで慎ましい日々に波紋を生んでいく―。
最初はそんな展開を想像していた。
けれど、進んでいくうちに違和感を抱いた。
最初はたしかに外部から一石が投じられた
かもしれないが、その後に波紋を生んでいる
のは他でもない本人ではないか。静かな日々
は、いつしか彼女の感情を抑え込んでいた。
抑圧から解放されるきっかけを望んでいたの
ではないか。
と、見当違いな推測は置いておいて。
不思議と閉塞感もなく、楽しい映画だった。
鑑賞後はちょっとすっきりした。
喪服でかっこよくフラメンコを踊る映画は、
これからもなかなか出会えないだろうな。
夫の歯ブラシで洗面台を磨くシーンは今後の
ために憶えておこうと思う。
2023#63