雨宮はな

波紋の雨宮はなのレビュー・感想・評価

波紋(2023年製作の映画)
5.0
私たち日本人のほとんどは常に喪服を着ている。
そこから命の水を解放して「ここにいるよ」とステップを踏んだとき、真っ赤な水面に波紋が広がるんじゃなかろうか。

スクリーンに映し出された誰もがクズで、だけど、何かしら庇ってあげたくなる何かがある。
誰かにとって、誰かはクズなんだ。
自分がクズでも自然なことじゃないかと安心させてくれる、ブラックなやさしさが見えた気がした。

その人が誰かを攻撃したとき、「そうしなければならないほどなのだ」と受け止めるのに必要なものはなんだろう?
仕組みだろうか、想像力だろうか?
守ってこそのルールでありマナーであるけれど、それがクズにとっては攻撃なのかもしれない。

「正しさで人は動かない、必要なのはやさしさだ」とよく言われる。
それも、ただ甘やかせばいいというわけではなく、必要な優しさとタイミングがあると、この作品は示している。
雨宮はな

雨宮はな