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波紋のkazuoのレビュー・感想・評価

波紋(2023年製作の映画)
4.2
東日本大震災をきっかけに失踪したが癌を患った事で戻ってきた夫、障害者の彼女を連れてきた息子、パートしているスーパーでの嫌な客、セクハラする義父の介護。これらに多大なストレスを感じながら暮らす新興宗教に傾倒した女性の、宗教の教義と生じる感情のジレンマなどの苦悩を描いた作品。
荻上直子ってなんとなく敬遠していたのだけれど、どうも最近の作品は以前の癒し系なイメージと違う評判で、主演が大好きな筒井真理子という事で鑑賞🎵
もう筒井真理子の色々な顔見ているだけで満足してしまったのだけれど💕そんなバイアス抜きにして良い作品でした👏
傾倒している宗教の教義の関係で憎んでいる夫に復讐したくとも受け入れなければいけない、スーパーの悪質なクレーマー(流石の柄本明!)の恫喝に弱腰対応で言われるがまま半額に値引き、これら苦悩を宗教の指導者に相談すればそのまま受け入れれば徳が積もるとか、なんの効果もない助言をされた挙句、高価な水を買わされるという💦
まさに悲惨な状況なんだけど、決して悲劇のヒロインにならないのは主人公が性格の良いタイプではないからで、夫の歯ブラシで排水口磨くとか、息子の彼女が障害者である事を嫌がったり、別に思いやっていないのに他者には夫の癌を利用して同情を引いたり攻撃したりして😅
で、そんな彼女に対して救世主的存在になったのは木野花演じる清掃員。倫理や道徳的にはちょっとアレな助言なんだけど💦でも倫理や道徳って人を抑圧したりするから、このアレな助言が主人公の心を解放したりして寛容さも生んだりしたりする。
しかし荻上監督、ホント人間が描けてるなー。主に嫌なとこだけど💦
というわけで、今まで荻上監督の作品観なかった事を後悔するくらい、好みの作品でした🎵
過激なようで折り合いをつけようとする内面をリアルに描いた荻上監督、凄いです👏
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