さくぞー

波紋のさくぞーのネタバレレビュー・内容・結末

波紋(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

シリアスな『最後まで行く(日本版)』だこれ。あっちもシリアスはあるけどあくまでエンタメ的なシリアス。こっちは笑えない系のシリアス。観客としてアハハウヒヒと観てられない。
それでも笑ってしまうシーンとの緩急がえげつなく、エッジの効いたセリフと緑命会の歌・ダンスなど応援上映もできそうなポップさが面白い。
あらすじに書いてある「依子の不満が爆発した時絶望がエンタテインメントに昇華する」から予想される構成ではなかった。

フラメンコするならもっと伏線入れて欲しかったけど手拍子が重なった時に目を見張った。でも「オ・レ!」で締めるならやっぱりもっと前振り欲しい。振ってても最後ああなるとは誰も予想できないと思うし。
家族で揉める時に水の上のシーンに切り替わるのはあまり好きではない。スカイツリーで彼女に詰められるシーンくらいの塩梅が好き。

一歩間違えば「男は悪!」と露悪的に必要以上に押し付けがましくなりそうな旦那を見事なバランスで作り上げた脚本と光石研の技量。主人公含めて一方的でない作り方が素晴らしい。というか一番最初に主人公がちょっとしんどい人って描写から始めたのがびっくりした。
「男は理解がない!女性は大変!そりゃ宗教にハマるし、それで幸せだったのにまた男がぶち壊した!」みたいな浅い話ではなかった。一流監督の作品だから当たり前だけど。
聴覚障害ある彼女がやべー奴なのもすごい。シンプルに悪女だった。
荻上監督作品はムコリッタしか観ておらず、clipだけしてる作品は沢山あるので観ていきたい。
ムコリッタでもだけどちゃんと性欲の描写があるの好き。

直近の出演作でボロボロの状態を演じた柄本明・木野花の両ベテランが超元気で安心した。
水木さん強キャラで行くのかと思ったけどああ来るとは…。でも全体通してすごくいいキャラでかっこよかった。地味にキムラ緑子もめちゃくちゃハマり役。
認識はしてたけど出演作を観てなかった筒井真理子も圧巻。表情のコントラストが完璧。磯村勇斗はもう光石研と同じくらいの安心感がある。

映像:====C
脚本:=====B
編集:=====B
俳優:======A
人物:=====B
音楽:======A
音響:=====B
【MVP】水木さん
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