脳みそ映画記録

波紋の脳みそ映画記録のネタバレレビュー・内容・結末

波紋(2023年製作の映画)
2.6

このレビューはネタバレを含みます

 荻上直子監督の作品は「かもめ食堂」と「めがね」しか観たことがなく、「彼らが本気で編むときは」以降の監督の言う自身の第二章は本作が初めて観ることになりました。
 
 予告観て「え?これ、萩上直子作品なんか?」と思いましたもの。

 これはたしかに第一章とは違う新境地で、鋭利な切り口のものになっています。
 新興宗教の滑稽な不気味さと人間のぶっ壊れた感じが今までにはない感じです。
 主演の筒井真理子はすごく綺麗な方なのですが、良くもここまでぶっ壊してくれたなと。

 一方で夫役の光石研はいつも通りの安定演技です。でも、このモラルのない夫、光石研だから許せちゃうかもしれないけど、すごい嫌だしやっぱり許せないかもとの心中のせめぎ合いが凄い…。まぁ、多分許せませんね。
 
 ただ、この夫が妻にとっての、専業主婦としての依存先であったことは間違いがなく、夫が蒸発し、息子が家を出た彼女の依存先が今回の新興宗教だったのでしょう。
 
 ラストで無様に棺桶から投げ出された夫に向かって高笑い、枯山水を踏み荒らしてフラメンコを踊る姿に見るのは、全てからやっと解放された姿なのか、それとも新たな依存先を見つけただけなのか。