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波紋のaiのレビュー・感想・評価

波紋(2023年製作の映画)
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2023年、267本目。

寝たきりの義理父を残して夫が突然姿を消し、妻依子は新興宗教に心酔していく。
その夫が数年ぶりに家に帰ってきたせいで依子の心に波が立ち始める。

介護、障害、宗教…これらにタブーとされる負の感情を水をキーワードとして映すのが面白い。
特に聾者である息子の恋人はいつもの"心は純粋で優しい"障害者像を打ち砕く、なんとも強かなキャラクターなのがすごく良かった。
依子が友人に差別心満載の不満をぶち撒けるのもいい。当事者なら当然の思いだけど、公では言えないセリフ。
他人目線ならいくらでも言える綺麗事なんて渦中で苦しむ人にはいらないんだよね。
あんなに信じていた宗教の美しい言葉さえ依子の心には響かなくなっていくのもリアルだった。
彼女を救うのは信仰でも家族でもない所に胸を打たれた。
ラストシーン、抑圧から解放された舞いは力強く見惚れるほどに美しかった。
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