理か

波紋の理かのネタバレレビュー・内容・結末

波紋(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

一番強いのは


波紋とは池に石などを投げた際に水面上に起こる輪状の波。

キムラ緑子さん、
教えは波紋のように広がる、とおっしゃる。

主婦依子に落ち度は無い。
ある意味生真面目過ぎる依子。
夫の父親の介護もする毎日。
会社員の夫が突然家出。

十数年ぶりに夫が帰って来た。
風体はどちらかというとみすぼらしく見える。
わが家とばかりに以前のように気ままに過ごす。
依子は変わっていた。
義父から家の権利を譲り受け、
心の拠り所として水を崇める新興宗教に
入信して大量の水を保有していた。
また、花が咲き乱れていた庭を枯山水に
変えてもいた。
毎朝さらえ箒で波紋を描く。
その上は歩かない。敷石を通るのみである。
猫であっても歩くことを許さない。
一人だが、
寂しさよりも気楽さが合っているらしく、
日々パートにも行き元気に過ごしていたので、
帰って来た夫が目障りに映る。

あの映像、初め夫からの波紋、
妻の波紋が広がり、夫のは見えない。

歯ブラシの件、他でも聞いたことがある。
依子は洗面台だけど、
トイレの便器掃除に使う人もいるとか😱

カマキリの話、
(中学生ぐらいか、事実を知った時、男子に、
あんたら人間に生まれて良かったなぁ。と、
言ってたかも。)

またその夫が末期癌の治療費をせびる。
信仰する場で夫を利用しようと考えて、
連れて行く。
抗がん剤の点滴を5万円ごとに数えている依子、
なかなかであった。

夫は身勝手、愛想尽かされても仕方なし。
妻は、一人で介護し息子を成人させる。
しかし、あの水は騙されている。
縋るところがそこしかなかったか。

また悩ましい出来事、
九州で働く長男の拓哉が、
年上で難聴の女性を婚約者として
突然連れて来る。
東京見物に二人で行った際、別れて!と言う
依子に拓哉に言ってもいいか、縁切るって。
と逆に脅す態度。笑いながら言うしなぁ。
依子の味方する気はないが、
こういう一見おとなしそうでいて
したたかな人間好かない。
妊娠しているから強気❗️それもなぁ。

負けるもんかぁ、と勉強会に連れて行くが、
反感しか買わない。

障害者差別はいけないとわかっていても、
実際自分の身内となると話は別になり、
一人で育てた息子なのに母としては
やりきれなくなってしまうのだろなぁ。

夫の波紋に打ち勝つ妻の波紋、
それを打ち消す息子の結婚宣言、
言い返す妻の波紋、
妊娠しています、と言う珠美の波紋。
妊娠が最強❗️

サッサと死ぬわ。という言葉。

ラスト、葬儀を終え日が経つのに、
喪服で拓哉を送り出す。
長襦袢は白、どの時点で赤くなるか、
踊り出しクルッと回って雨が降って来た時。
フラメンコの為の衣装。
夫が居なくなりとうとう爆発💣
一人だけど、自分らしく生きれるのか。

筒井真理子さんの演技が冴えわたる一作。

(余談)
自宅の庭は、枯山水よりも色とりどりの花が咲き乱れている方が好みです。
理か

理か