夫が寝たきりの舅を残して出て行った。
庭に枯山水を作った。
息子は九州に逃げて行った。
ひとり残された私は宗教にハマった。
その夫が帰ってきた。
癌だった。
保険適用外のため高額の治療費がかかるという。
金のために戻ってきた。
久しぶりに帰省した息子は6歳年上のハンディキャップを持ったカノジョを連れてきた。
しかも妊娠していると。
結局夫は他界した。
「枯山水は水を使わずに水を表現するけど、結局は存在しない水だから面白いって」
枯山水に突然、雨が降る。存在しないはずの”水”の世界に、本物の水が降り注ぐ。だとするとそこにはもはや枯山水は存在しない。あるのはなんだろう、現実?
そのラストは葬儀を終えた夫が運び出されるシーン。息子も家を後にして残された母はかつて習ったフラメンコを踊る。喪服のまま、雨が降り注ぐ中を、ひとり悦に入って踊る。枯山水の敷砂を蹴り散らせながら。でも天気雨。空には青空が広がっている。
なかなかにブラックなユーモアを漂わせる映画。
そしてラストが圧巻!
上記したように、葬儀の日に喪服姿でフラメンコを枯山水の舞台で踊る。雨が降りしきる中を
筒井真理子さんは相変わらずの演技力。それも自然体で役に落とし込んでゆく彼女。しかもこの映画ではいくつもあった、複雑な感情を浮かべる表情を見せてくれました。