熊犬

最後まで行くの熊犬のレビュー・感想・評価

最後まで行く(2023年製作の映画)
3.7
【詰んだところから始まる緊張感】

雨の中、車を走らせる刑事の工藤。彼は追い詰められていた。
仕事場では自らの汚職に対する監査が入る話が上がっていて、妻との関係は離婚寸前、母親が危篤で今まさに病院に向かっている車中。
そんな中、工藤は焦りからか人を轢いてしまう…既に人生追い詰められた状況から、新たに抱え込んでしまった男の死体…
そんな圧倒的に"詰んだ"状況から始まる、サスペンススリラー。
…な映画。

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あ~、この始まり、大好き。
スタート地点がもう詰んでるっていうか、詰んだ時点から映画が始まってる。もはやこっから崖っぷちをずっと走るしかないし、映画を通して一向に崖っぷちから抜け出せない。
なんなら何回か崖を踏み外しながら、どうにかこうにか辛うじて踏ん張ってる…それが、緊張感がありつつも絶妙に滑稽というか。この空気の作り方は抜群に上手い。

やっぱり金を掛けられない日本映画は、アイディアとか設定の妙で面白くしてあるとちゃんと見れますよね。ワンシチュエーションものとか、ワンアイディアものとか…
…と、思って観てたんだけど、基は韓国映画でこれはリメイクなのね。
無理な実写化とか、予算が心もとないアクション / CGな映画なんか作らずに、こういうのもっと作って欲しいっす日本も。

岡田准一、やっぱカッコいいな〜!
今作のキャラクターは相当クズだけど、クズっぷりとダメっぷりがちょどよく出てて、結局めちゃくちゃかっこいい。

全編通してもの凄く良かったんだけどな…でも個人的に最後だけは…いただけない。
この映画の一番ダメなポイントであり、個人的には致命的な最後。この終わりは、ちょっと違うだろ。
ここまで走ったけど、走りっぱなしで良いとは思わんよ僕は…

■本日のビール『ジュピレーションエール』
醸造所:ベアード (日本 / 静岡)
静岡のベアードブルーイングが毎年の年末年始に向けて作るお祝いのビール。イチジクとニッキの枝を使ったかなり独特な風味のビールで、ギリギリのバランス感で年越しを祝う為にビール飲み達に愛されている一本。
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