ふじこ

アノニマスがやってくるのふじこのネタバレレビュー・内容・結末

アノニマスがやってくる(2019年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

オハイオ州の小さな町で起きたレイプ事件。
加害者が地元のアメフト選手だったが為に事件は早々に葬り去られようとしていたが、ネット上で様々な活動を行う"Anonymous"がこの事件に言及、アメフトチームのウェブサイトをハッキングして事件について声を上げるように扇動を始める。


って感じのドキュメンタリー。アノニマス久し振りに聞いたわ。
[ バックログ ]という短編映画でもレイプの話を取り上げていたけれど、あちらは警察に訴え出てもレイプキットの検査すら数十年放っておかれるお話で、こちらは田舎町にありそうな隠匿体質で 犯人?あぁ彼の事は知っているよ、検察は起訴しないってさ って流されてしまうタイプだった。
いや…そんな事ある?犯人の事知っていたならなおさら嫌悪感を抱かない?わたしが女だからそう思うのかな。
様々な協力者が現れて、かつてレイプされて訴えたけれど上のようになかった事にされてしまった人や、今まで誰にも言えなかったけれどレイプされた事がある人、次第に女性の運動として変化していく流れが興味深かった。

小さな田舎町らしく、他所から人が沢山入って来たり、余所者が口を出すのを良しとしないのか抵抗する運動なんかもあったりして、特に長年染み付いた価値観みたいなのって中々覆らないんだなぁみたいな気持ちにもなる。

この手の犯罪の擁護で一番クソだなぁと思うのが、"加害者の将来が~"みたいなやつ。
被害者の将来は…?一時の加害者の下半身大満足の代償に一生苦しむ方は…?と思う。
犯罪犯すヤツの将来より、被害者の方を考えてやれよ って凄く自然な考え方だと思うんだけど、違うのかなぁ。
もし被害者が将来を渇望される天才音楽家の卵とかだったらどうなっていたんだろう。
どうして被害者と加害者のその時点での属性が考慮されなくちゃならないんだろ。余りに差別的過ぎる。

でももし出演していた警察官の人が最初に出てきて、この事件はもう既に解決していたんです って言われたら、えっそうなの?って思ってしまうんだから、属性の力が働くのは社会に存在する人間として分からなくもないんだけど。

被害者である女性は出てこないし、警察が何を以て解決したって言っているのかも分からない。
けれど、最終的に僅か2年であるけれども加害者は少年院へ送致され、他の関係者も学校を辞めたり他の罪で起訴されたようだけれど…。
一連の出来事がなかったら、きっとそのままアメフトを続けて何事もなかったかのように人生を謳歌したんだなと思うと、劇中にあった"正義に恵まれなかった人たち"が余りに可哀想になる。
正義って、普遍にそこにあるから正義と呼ばれるはず、だと思うんだけどなぁ…。
見応えがあった。
ふじこ

ふじこ