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神が描くは曲線でのTRICKSTER10のレビュー・感想・評価

神が描くは曲線で(2022年製作の映画)
4.5
セレブな女性探偵アリス・グールドが、過去に起こった事件の死亡者の父親からの依頼で、事件の現場となった精神病棟に患者となって潜入する。

舞台は1979年のスペイン。精神病棟はまさしくカオス。人権等の考えがまだまだ未熟な時代。病院関係者と患者は、看守と罪人のような関係。

病院側の立場と探偵側の立場。どちらが正しいのか。

話の概要は、他にお任せするとして。感想。

病棟に潜入する前のアリスを演じるバルバラ・レニーの演技にどんどん惹き込まれていきます。パーティでのドレス・潜入時に病棟に訪れる際のコート姿。そして、自宅でのダンスシーンは、演技とはわかっていても、こんなに自然に自分の世界に没入するさまを表現できるのは凄いかなと。観ている側の頭を困惑させる大切なシーンかと思います。

また場面と場面の繋がりも、今観ているのは、事件が起こった時のものなのか、現在進行しているものなのか。不思議な構成で、話が進むほど、病院・探偵どちらの立場が正しいのか惑わされていきます。

結末は観ている側に委ねられている?と感じる方もいらっしゃるかと思いますが、私は、最後のシーンである人が語った言葉がすべてではないか、という事で納得しました。ここに疑問を抱かれる方はモヤモヤした最後になりますね。そういう意味では評価が分かれる作品かと思います。設定は『シャッター・アイランド』に似ていますが、私はこちらの映画の方がはるかに好きです。

原作はトルクアト・ルカ・デ・テナによる1979年の小説との事。この時代に、こんな設定のお話がすでに発表されていたことにも驚きました。

155分の作品ですが、私は最後まで飽きることなく楽しめました。

by TRICKSTER10
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