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フィルム時代の愛のsonozyのレビュー・感想・評価

フィルム時代の愛(2015年製作の映画)
3.0
『慶州 ヒョンとユニ(2014)』のチャン・リュル(張律)監督&主演パク・ヘイルによる、4章で構成された作品。

1)愛
精神病院に入院中の祖父(アン・ソンギ)に面会する孫娘(ハン・イェリ)。
目を閉じてエアギターを弾いている祖父に好物のりんごを剥く孫娘だが、下手すぎて祖父が自ら剥く。そして懇意にしている清掃係の女性(ムン・ソリ)に渡そうとするが仕事中と断られ、りんごが転がり女性患者が拾いかじる。
祖父は突然果物ナイフを手にムン・ソリを追いかけ・・・
という白黒映像から一転カラーに。実は映画撮影現場だった。
ここで撮影技師(パク・ヘイル)が監督に向かって愛を分かっていないと非難し、撮影されたフィルムを持ち去る(ジャケ写)・・

2)映画
ストーリーはなく、特定しにくい空間を捉えた16mmフィルムの質感。
ホルヘ・ルイス・ボルヘス短編集、始皇帝の万里の長城建設と書物の焼却に関するナレーションも。
撮影技師の脳内イメージなのか….このパートはよく分からず。

3)彼ら
『殺人の追憶(パク・ヘイル)』『光州5・18(アン・ソンギ)』『ペパーミント・キャンディー(ムン・ソリ)』『帰郷(ハン・イェ)』のフッテージを組み合わせ、サイレント映画仕立てでアフレコ。
パク・ヘイルが「フィルムを燃やし、彼らを殺したな!」と刑事に追い詰められる。

4)再び愛
1章とほぼ同じ映像から人物が消えている(同じ音声だけが聞こえる)という不思議映像から、撮影技師(パク・ヘイル)がエアギターを爪弾き男に語るひとこと。

1)白黒→カラー
2)16mmフィルム
3)既存作フッテージ再構成
4)人物不在(音声のみ)の1の映像反復(この手法はユニーク)
という4章から、監督の“フィルム時代の愛”?が伝わるような、分からないような…

JAIHOで今月公開されるようなのでもう一度観てみよう。
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