KANA

メイド・イン・USAのKANAのレビュー・感想・評価

メイド・イン・USA(1967年製作の映画)
3.7

ゴダールとアンナ・カリーナが組んだ最後の作品。
すっかり内容を忘れてたので改めて。

元婚約者リシャールの謎の死の真相を確かめるべく架空都市アトランティックシティにやってきた女性記者ポーラ(アンナ・カリーナ)。
関係者たちから話を聞くうち、ある事件に関わっていたことがわかってくる。

…と一応のプロットはあるのだけど、ゴダール作品お馴染みレトリックの洪水で見事に煙に巻かれ、全くと言っていいほど左脳が働かない。
これは内容覚えてなくて当然だ。笑

とはいえハードボイルドムード×色鮮やかな映像詩は洗練されまくってて一瞬も見逃せない。
赤、青、黄、タイプライター、レコーダー、アンナのアップ…奔放なモンタージュ。
どこを切り取ってもオシャレポスターになる。
ゴダール自身、本作で気に入ってるのは色とタイトルだけだと言ってるそうで。
でも逆にいえばアート面ではかなりの自信作なんだと思う。

このアンナは終始すかしててクールに決まってる!
サイケっぽいビビッドカラーのワンピースに軽めのトレンチコートのバランスが絶妙。
指を伸ばして煙草を吸う仕草が好き。なんとなくあどけなくて、でもコケティッシュで。

これがスクリーンデビューとなったマリアンヌ・フェイスフルはいかにもポップアイドルらしい3分間のおざなりの出演だけど、オーラがスゴイ。
アカペラでしっとり歌うのはストーンズのAs Tears Go By。
当時の彼氏がミック・ジャガーなんだもんね。ゴダールの粋な計らい?
(マリアンヌは同時期の『アンナ』でもアンナと共演してる。どちらも貴重なフィルム!)

そしてジャン=ピエール・レオ。
脇役なのに"ゴダール映画のアクセサリー"としての価値は高い。
『男性・女性』といい『出発』といい『中国女』といい、この時期のレオ好き。




〈note〉
村上春樹の好きなゴダール作品…
『女と男のいる舗道』
『恋人のいる時間』
『アルファヴィル』
…「アルファヴィル」は小説にもろ出てくるし、他二つもらしいというかわかる気がする。

ちなみに新刊の今日読んでたところで、ある登場人物のシンプルな墓石を『2001年宇宙の旅』のモノリスに喩えててテンション上がった!
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