tamaster

劇場版 空の境界/第五章 矛盾螺旋のtamasterのレビュー・感想・評価

4.0
これはいい!観終わった後の気持ち良さが半端ない。
一つの映画としての完成度、そして、満足度が高すぎる……!

 劇場での一挙上映は現在まだ第四章までなのだが、『空の境界』熱が冷めずに、我慢しきれず配信サービスでレンタルしての鑑賞だった。

 冒頭から、これまでの章とだいぶ雰囲気が違うなと思わされたが、こういう尖った演出はむしろ好みだと思いながら観ていく。
すると、今敏監督の映画でよく見る「今敏カット(マッチカット)」の連続(というより応酬)で、少しくどいがとても中毒性があった。マッチカット、マッチカット、マッチカットで、どんだけこの監督はマッチカットが好きなんだと思ったら、それもそのはず、エンドクレジットをよく見れば、監督は今敏の弟子(?)、平尾隆之ではないか。

 数年前、『映画大好きポンポさん』を観たときに、あまりに「今敏カット」が多くて気になり、すぐさま調べた記憶が蘇ってきた。また同じことをしてしまっていた……。まさかこんなところで再び出会うとは。驚いた。

 さて、興奮がつづいている間に本編の感想を少しだけ。
なぜかこれまでの章とは違い、本作は120分の尺だった。鑑賞前は不思議に思っていたが、ちゃんとそこに理由があったのは見事だった。
これまでの60分尺という形式(お決まり)があってこその仕掛けだとも言える。
 描かれているテーマも、第四章の延長線上にあるもので、空虚な現代、空虚な自分を生きる現代人としては、感動せずにはいられなかった。
 Cパートも、観客へのサービス精神溢れるもので心が浄化された。もう残虐な戦闘シーンとかいいからさ、一生ああいうのを見せておくれよ……。

 癖の強さも、エンタメ性も兼ね備えた素晴らしい映画だった。
第四章が暫定ベストだったが、早くも、第五章に塗り替えられた。

 すっかり『空の境界』にハマってしまった……。
tamaster

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