モモモ

劇場版 空の境界/第五章 矛盾螺旋のモモモのレビュー・感想・評価

4.0
なんかここに来て過去最高に尖った演出と脚本が飛び出してきたな…!!
ループ展開のような「既視感」を利用する構成と序盤の時系列シャッフルの併せ技で「まるで夢を見ている」ような空気感を形成しているのだが、本作のあるキャラの顛末を知るとその感覚そのものが「観客とキャラクターを同一にする」主題となっていて…押井守と今敏が悪魔合体したみたいだ…。
コイツがラスボスだな…!と睨んでいた存在との正面対決…なのだが、どうせ勝負は痛み分けで終わるんだろうと思っていたので、かなりビックリしましたね。
まあ「普通に生きてました」とか「意志を継いだ存在」とか全然成立する世界観だとは思うんだけど。でもそれやっちゃうと格は落ちるか。人形なんて用意してねーよ、が奴を誇り高さを演出していた訳だし。でも、まあ、魔法使いだしさ、何でもアリですよね。
今回もサブタイトル通りの物語が良かったですね。ループ物の体裁を取りながらループ物ではない歪な物は正に「矛盾した螺旋」としか言えない。
今回は式も黒桐も実質的に脇役でしたね。「根源」に辿り着為に矛盾する螺旋を作った男。コンプレックスに溺れた男。彼らを凌駕し続けていた女。同じ学問で学んだ3人の果ての物語。「殺した事は事実、しかし以上でも以下でも無い存在が既にいたので、問題はないです」ですよ。ここまで急激なキャラ立てが起きるとは。
「俺」口調の謎はサラッと解説。昏睡状態になった理由も語られて。最後には急にデレッデレになる。一章から続いていた物語の「円環」が完成したように思えるのだが。次章予告を観る限り、次は妹編っぽいし。どこに着地する物語なのだろうか。リアルタイムで観ておきたかったな…当時は中学生だったし地元では上映してなかったけど…。
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