最初は道中出会うぶっ飛びキャラたちのノリにあまりついていけなかった。
ちばしん役の橋本淳さんが好きで、橋本淳さんのリアルな演技が周りのノリと合っていなくて浮いていた。
だから観てる私も道中出てくるぶっ飛びキャラたちを少し好きになりにくいなと思いながら観ていた。
なんなら少し冷めた目で観ていた。
でもそれも狙いだったのかなと思う。
ずっと引きこもっていて、久しぶりに外の世界に出たらあんな感じなのかもしれない。
それこそRPGでモンスターに出会うような。
ハニートラップキャッツアイの2人はさながら最初のモンスターだったんだと。
中西柚貴さんという役者さんを知ることができたのも、この映画を観て良かったことの一つです。
そして下北沢のながちん行きつけのバーでこの旅の意味がわかった。
ちばしんがいないところで、ながちんはバーの客にちばしんの話をしていた。
馴染みの客は皆ちばしんを知っていた。
楽しそうに話すちばしん。
笑い声をバーの外で聞いて泣くながちん。
ああ、そうか、この旅はちばしんに居場所をつくるための旅なのか。
ちばしんに居場所はあるよと伝えるための旅なんだ。
ちばしんがこのRPGの、いやゲームではなく、現実の世界の住人になった瞬間だった。
バーのシーンから一気にこの作品を好きになった。
そしてこれはながちんが死んでから、後悔してきたことをする旅でもある。
旅のシーンより下北沢に帰ってからの方が魅力的に映った。
ながちんの愛されようたるや。
にんじんしりしり一本で店をする夫婦には笑いつつも好きになってしまう。
バンドメンバーも愛らしい。
銀行辞めてバンド一本に絞った人面白い。
ながちんが死んでいたことを知ったら悲しむだろうなと思い、余計悲しくなった。
でもながちんはちばしんに何かを残せたと思う。
それはみらいかな。
エンドロールが良かった。
ゲームで振り返ることで、なんだか一緒に旅してきた気持ちになった。
よっす、おまたせ、じゃあまたねがダブルミーニング笑になっていたなあ。
背中を押された気がした。