ゆたり

シック・オブ・マイセルフのゆたりのレビュー・感想・評価

シック・オブ・マイセルフ(2022年製作の映画)
3.8
現代版ミュンヒハウゼン症候群ガール
「POPな雰囲気醸し出しておいてちゃんとHeavyなんだろうな」と思っていたら、やっぱりちゃんとHeavyでした。
お客様はそのPOPな映えっぽさに釣られてきたのか、若い女性グループやら若いカップルさんやらもチラホラいらっしゃいましたね。
実際、北欧物にしちゃだいぶ彩り豊かでしたよね。
まぁしっかり陰鬱でしたけど。
ストーリー的にドラマティックな展開は全て妄想で、現実は、大きい出来事はなくただただゆっくりとゆっくりと沈んでいくだけ。

前半部分は、自分もしちゃった覚えのある(覚えしかない)構ってちゃん仕草が頻出していて、共感性羞恥で正直ホント汗びっしょりになっちゃいました。正視に耐えない。
ぼくのそんな恥ずかしい部分を弄り回さないでください。
自分がした善い行い、誉めそやされてぇよな。
わかるよ。わかる。わかりすぎて辛かったです。

トーマス、完全に社会的に悪いやつなんだけど、よく愛想尽かさずに付き合ってくれてるし超悪いやつではないよなー。って思っちゃったり。
シグネは結局、肉親(父親)からの愛情不足でああなっちゃったんだろうね。っていうのがわかる説明がされていたのが、良かったですね。
ただそこの家庭不和描写がホントふんわりとされているだけなので、伝わりにくさはあるかもね。と言うか、それが理由かも推測だけどね。

このカップルとランチしても超つまんねぇだろうな。
イマジナリー葬式SEX良かったですね。

ファッション業界のスタンスが超グロテスクでよかった。
完全に今の風潮への皮肉だよね。皮肉ってかストレートにパンチぶちかましとるよな。
「社会的な弱者にも光を!」と言いつつ、結局は都合よくラインを引いている。
ラインを引くのはビジネスなので当然だと思うけど、そういうスタンスで行くならちゃんと責任と覚悟を持てよな。っていう気持ちですね。

薄っぺらい、何も無い自分を受け入れるのは、辛いよな。

シグネのことを、ただ、ヤバいやつ。注目を集めたいだけのバカ。として捉えられている人は、きっと幸せな人生を歩んできたんだなと思う。
ゆたり

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