叡福寺清子

シック・オブ・マイセルフの叡福寺清子のレビュー・感想・評価

シック・オブ・マイセルフ(2022年製作の映画)
3.7
ダッシュカムのアニーさんと双璧をなす嫌われヒロインのシグネさん.トーマスさんはよくこんな人とお付き合いしてたなぁと感慨深くなるnが本作『シック・オブ・マイセルフ』.こんばんわ三遊亭呼延灼です.
そのシグネさん.かまってちゃんの極北というか,ミュンヒハウゼン症候群の化け物といいましょうか,とにかく自分に注目が当たらないと我慢ならないお人柄.問題なのは,ご自身が注目を浴びるに足る美貌や能力がないこと.ただのカフェ店員で,強いて言えば新進気鋭の芸術家が彼ピってことぐらい.でも彼女はそれが気に入らない.彼ピの個展成功の祝いの場で、ナッツアレルギーと偽証し,発症したフリまでする.もちろん,それによって店が被る被害を一顧だにしません.そんな彼女を好きになる要素がどこにありましょうや.さらにはエスカレートして,皮膚が激しく炎症を起こす薬害が確認されている薬を故意に服用し,結果顔面爛れ,望み通りに世間の注目を浴びます・・・

でも考えてみてください.彼女の行いと迷惑系ユーチューバーやバイトテロ,回転寿司屋の醤油入れをペロペロする阿呆はどこが違うのでしょうか.つまりこの世の東西問わずシグネさんに溢れているわけです.程度の差?それを迷惑を被った方に言えますでしょうか?
もちろんSNSやインターネットは便利だし,私だってSNSがなければこうやって人様に映画のレビューを開陳することなんてなかったでしょう.そもそもSNSにしてもネットにしても,今更廃止するなんてことは不可能です.であればシグネさんのように精神性疾患患者さんは隔離するしかございませんわな.本作ラストのように・・・ってなんかいい風にエンディングを迎えましたけども,シグネさんのかけた迷惑が許されたわけでも,抹消されたわけでもございませんからな!