ノラネコの呑んで観るシネマ

シック・オブ・マイセルフのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

シック・オブ・マイセルフ(2022年製作の映画)
4.3
強烈な承認欲求に取り憑かれた女性の辿る悪夢の道。
主人公はカフェに勤める平凡な女性だが、新進芸術家の彼氏がチヤホヤされるのに嫉妬。
ある日犬に襲われた客を助けた彼女は、かわいそうな人に人目が集まることを知ってしまう。
彼女は皮膚病を引き起こす違法薬物を入手し、大量摂取した結果無事に顔が崩れはじめ、同情と注目を集めることに成功する。
ぶっちゃけ主人公には1ミリも共感できず、途中彼女の破滅を願うくらい、友達になりたくない人物。
彼女自身も自分がおかしな事をやってる自覚はあり、中盤以降は上映時間の半分くらいが妄想。
それも成功する妄想と、失敗する妄想がごちゃまぜになっている。
まあ分かりやすい心の病気なんだけど、ここまで極端でなくても近い人は割といるし、嘘が嘘を呼び転がり落ちてゆく様は実に現代的で、シニカルな風刺劇としてなかなか秀逸。
最後はちょっと同情したけど、あのラストの画を見ると結局?
承認欲求自体は誰にでもある感情だろうが、「こうはなりたくない」という見本のようなキャラクターだった。
くわばら、くわばら。