【足のない鳥】
その鳥には足がなかった。
でもその鳥はいつか自分も他の鳥のように美しく大空を羽ばたけるものだと信じていた。
来る日も来る日も、ずっと空を舞う鳥たちを羨ましそうにただ眺める日々・・・。
（いつか私も・・・・）
・・しかし、やっぱりその鳥には足がない。
それは一度舞い上がれば二度と降りることが出来ないことを意味していた。
それでもどうしても大空への憧れを捨てきれない鳥は、遂に羽を広げて大空へと飛び立った。
なんという解放感だろう！
みんなは私が飛べないと思っていたから、尚更私の姿に驚いて見とれている。
もっと。もっと。もっとみんなよりも高いところへ。
そうか・・・空を飛ぶってこんなに気持ちがいいことだったんだ・・・
全身に溢れる高揚感。
・・・しかし、その鳥はわかっていた。
一度飛び立ってしまうと、自分には「降り立つ足」が無いことを。
もう降りることが叶わない状況で、ただひたすら飛び続けることしか選択肢は残されていなかった。
そして鳥は初めて理解する。
みんなと一緒に飛んでいたのは「天国」だとばかり思っていたのに、本当は自分だけが「地獄」に向かって飛んでいたことを・・・。
続きはネタバレになりますので、フィルターをかけてピルケースの中に閉まっておきます。
